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細道・より道・松尾芭蕉

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松尾芭蕉 山寺

『猿蓑』去来・凡兆 共編 元禄4年(1691) 半紙本2冊 井筒屋庄兵衛刊 山寺芭蕉記念館蔵

『猿蓑』去来・凡兆 共編

元禄4(1691) 半紙本2冊 井筒屋庄兵衛刊 山寺芭蕉記念館蔵

芭蕉一門の撰集です。俳諧の「古今集」※とも称されました。2冊からなり、1冊目「乾」※は発句(五七五の十七音のみで鑑賞される俳句)、「坤」※は連句(五七五の長句と七七の短句を交互に付けていく形式)と芭蕉の俳文『幻住菴記』と『几右日記』(蕉門の発句集)を収めています。

書名は巻頭の句「初時雨猿も小蓑を欲しげなり」によります。この句は芭蕉が『おくのほそ道』の旅の直後に詠んだ句で、この後芭蕉が唱えた句風「かるみ」(身近な物に美を見出し、軽妙に表現すること)の兆候が見られます。発句編の配列を冬・夏・秋・春としたのも新風とされています。

ところで本書では、発句の季節の配列を冬から始め、夏秋冬と下のも新しい工夫です。 俳諧の「古今集」とも称されました。蕉風の一つの達成を示す集として、高く評価されています。

巻之四「春」の最後の句は芭蕉の「行春を近江の人とおしみける」です。芭蕉は琵琶湖湖南の風光と人が大好きでした。『幻住菴記』も近江の草案に滞在したときの記録です。

なお、当館蔵の本書は初版ではなく後刷りとみられます。本書がそれだけ多くの人に読まれたことを示しています。

(※注)

※「古今集」、10世紀初めに編纂された日本初の勅撰(天皇の命令で編纂すること)和歌集。和歌集の代表とされた。

※「乾坤」で「天地」の意味で,2冊の本の署名に付けられている場合は「上巻・下巻」を意味します。

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