奥の細道
松尾芭蕉
出羽三山
出羽三山
出羽三山は羽黒山・月山・湯殿山からなる、400年以上前に開かれた修験道の聖地です。現在の出羽三山は神道の神社ですが、当時は神仏習合の時代で仏教の寺でした。
最上川を下った舟から上陸した芭蕉は、羽黒山の門前町「手向」に住む近藤佐吉(俳号「呂丸」)を訪ね、佐吉の案内で羽黒山に登り、別当代(長官の代理職)会覚阿闍梨(高位の仏僧の称号)に会います。南谷にある別院に泊まり、さまざまなもてなしを受けます。
会覚らと開いた句会では、芭蕉はお礼の意味を込め
ありがたや雪をかをらす風の音
(夏ではありますが、谷間に残る雪の気配が風に乗って
伝わってきます、まことに尊くありがたいことです)
と詠みました。『おくのほそ道』では
ありがたや雪をかをらす南谷
と変わっています。